幾松様の事は好きだ。 けれど、あの方は私に 『愛』 を教えてくれた。 恋すると女は綺麗になれる。 では、愛する…と? その答えはどんなに着飾った女郎達も答えてくれない。 それは自分自身が経験し、そして自分で見つけるものだ、と。 「え津…」 何も羽織っていない私の肩に幾松様の唇が触れる。 ああ、暑い暑いと日中は言っていても、夜になると肌寒く人肌が恋しい。 確かに、年月が過ぎていっていることを感じた。 *