「今夜、ウチのお得意さんが来る予定。なんや、新顔を連れてな。だから、アンタも顔みせな。」 連日続く、顔見せ。 このうちの誰かに抱かれる。そう確信していた。 『はい。』 名代に出される事は多々あった。けれど、初めから夜の情事が始まるまで付き合わされるのは滅多にない。 男と女。 何をするのかわからないような歳でもない。 ただ、不安なのは姐さん達のいう 【愛する】感情 がわからない。 初恋というものもまだだったのだ。 *