TeFU TeFU ~蝶の媚薬~




『あの男とは…いったい誰のことを指しておられるのでしょう。全くわかりません。』


畳に広がった酒の冷たさで我に返った。


(――駄目だ。幾松様の顔が見れない。)


きっと、疑いをかけるような目で私をみているのだろう。
幾度となく、この人に嘘をついた。


「では…何故こちらを見ないのか?え津…こちらを見なさい。」


幾松様の温かい手が私の頬に触れ、彼の瞳には私の姿を移していた。




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