TeFU TeFU ~蝶の媚薬~


体を洗い終わった姐さんは、桶で湯を掬い、自分にかけた。


白い背中は本来の身長よりも大きくみえる。
自分だけでなく、私達下の者の生活を背負っているからだ。


ボーと、眺めていると、顔に熱いものがあたった。


犯人は一人しかいないけれど。


「なあ…え津…」


いつもの傲慢な声ではなく、遠慮がちな声で私に話しかけてきた。


『なんですか?』


「うちに間夫なんかいねえよ。」




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