誰も居ないだろうと思っていたが、先客がいた。 あまり機嫌がよくない姐さんに会わすには気が引ける人物だった。 「あら、これはこれは朝日花魁様では。昨晩も激しい夜だったんでしょうね。」 体のあちこちに朱い跡がある姐さんの体をみて、あや野(アヤノ)姐さんが言った。 元々はあや野姐さんの方が朝日姐さんより上の女郎であったが、見事に先を越され、おまけに花魁の位にまで上り詰めた朝日姐さんに何かとつけてつっかかってくるのだ。 *