「え津…」 急に名前を呼ばれ、ドキリと胸がなった。 昼三の頃から私を買い続けており、今もその頃の名前で私を呼ぶ。 花魁になれば名はかわる。と申しても、一向に聞き入れる素振りをみせない。 おまけに「え津」というのはお前しかいないから大丈夫だ。など言っていたような気がする。 『……あい…』 ――いつもの事だろう… 「夫婦(めおと)になって…もらえぬ…か…?」 *