上坂君は返すと言ったけど、


私はあげると言って受け取らなかった。



返されても困るから。




断固として受け取らない私に先に折れたのは上坂君だった。



でも、ただでもらうのは嫌だから今度お返しするねって言われた。


いらないって言ったのに上坂君はありがとうと笑って去って行った。



あの時、お返しするって言われたけど、特に何もなかった。


すっかり忘れてると思っていた。



だからまだペンを持っていたことに少し驚き。




「忘れてなかったんだ。


じゃあ、なに約束したか覚えてる?」



「うん。」