「よかった~ てか、顔色悪いけど大丈夫!?」 今の私には上坂君の声など耳に入らない。 それどころかなんの音も耳に入らず、 ただ私を睨み付ける真弥の顔をずっと見ていた。 「真弥…」 「えっ?誰?誰?」 私の呟きが聞こえたのか上坂君が聞き返してきた。 もちろん全く耳に入ってないので答えてないけど、 私の目線から何か読み取ったのか、それ以上問われることはなかった。 なのに上坂君は私の隣を離れようとはしなくて、 動かない私の手を取って歩き出した。