それから1週間と少しして、麻友美は、元気な男の子を産む。2700グラムの比較的安産だ。
悠太は生まれた男の子を抱く。

「ありがとう、麻友。」

麻友美は、

「もう…何よ、ありがとうなんて変だよ。」
「何で?」
「悠がありがとうなんて珍しい。嫉妬深いバカだよ。」
「…あのなぁ…子供できたら少しはまるくなるよ。」

ちゅっ。

悠太は赤ちゃんにキスをする。麻友美は笑う。


悠太の両親が来ている。

「かわいい男の子だね。」

母が言う。奈央は赤ちゃんを不思議そうに見つめている。

「どうしたの?不思議?奈央もおばちゃんよ。だって大好きな悠太兄ちゃんの子供よ。」

奈央はゆびをしゃぶって不思議そう。麻友美は、

「不思議?そっかぁ、生まれるんだもんねぇ。お腹の中にいたもんねぇ。」
「奈央もそうだったのよ。ママのお腹の中にいたのよ。」

奈央は母を見つめる。

「仲良くするのよ。そうしないと悠太に怒られるよ。」

奈央はびくっとする。父は、

「よっぽど悠太に嫌われるのが嫌みたいだね。」
「そうみたい。奈央、パパは?」

奈央は首を振る。

「…父親としてショックだなぁ。」


史奈とあつきが来る。

「きゃあ、かわいい、男の子だね。」

あつきは、写真を撮っている。

「…妹がうるさいんだ。沢山撮って来てって…。」
「絢ちゃんには弱いですね。…妹ですから。兄さんからも、独身者は行きにくいので。だとさ。弟君は来た?」
「昨日来ました。抱いて抱いて。自分の事を考えなさいって。」

あつきは、

「彼もそれなりに考えてますよ。放っておけばそれなりに仕打ちが待っていますから。」

史奈は、

「私はあと数ヵ月の問題だと思うよ。お姉さんに促されてプロポーズする。甥っ子ができて、かわいいから自分も子供が欲しいとか。学生さんだけど就職は決まっている。あれじゃあしざるを得ないでしょ。就職先の社長は?専務は?圧力だと思うよ。大丈夫。私が誰かさんの抵抗を止めておくから。」
「誰かさんって…。」
「本人がいちばんわかっているでしょ?」
「……。」
「あ〜あ、旦那さんご無沙汰なんだよね。そろそろ二人目考えて欲しいな。阿由葉も妹か弟欲しいのに。」
「いいの?しても