新月の夜

ないと思い始めました。それが彼女にとって不安で、本当は好かれていないのか、問われました。キライなら別れて下さいと。抑えていたキモチをぶつけました。ある日、彼女から呼び出されて行くと彼女のお腹に命が宿っている事を告げられました。彼女は私が望んでいないと勘違いして、一人で育てようと旅立った。次の日、彼女の姉から殴られて、彼女がいなくなったことを知りました。私は、愛しい女性と子供を失ってしまうのか？悔やみました。捜して、結婚を申し込もうと決意しました。捜して半年くらい、彼女を見つけました。お腹は大きくて、彼女は逃げようとしました。止めて、プロポーズして、何も知らない彼女の家族にボコボコに殴られて、生まれるのを待って過ごし始めました。いわゆるできちゃった婚の私達の生活は彼女を苦しめる酷い事ばかりでした。」

「生まれた子供はＤＮＡ鑑定をされ、実の親子かを調べられる。働くのはいいけれど旧姓で、結婚の話は内緒で、他の男の妻だと。もし言ったら子供を置いて出て行けと。跡取り息子だけは欲しい、父親の自分勝手な押し付けを彼女は受け入れた。辛かっただろう。普通の夫婦のように歩けない。毎日のように泣き顔を見ました。年は関係ないとはいえ、２０や２１の、命懸けでも子供を守ろうとした彼女には酷い事でした。二人目を作ろう。優しく話しました。簡単な事ではないけれど少しでも認めて欲しかった。結婚式には親族は彼女の家族と私の兄弟のみで、影でこっそり母が見ていたくらいで父は来なかった。そして長男が２才を過ぎた頃、彼女に妊娠の兆候があらわれました。しかし、それを父に伝えても変わりませんでした。ましては、二人とも置いて行ってもらうと念を押されました。それでも認めて欲しいと願っていました。」

「生まれて、父は一瞬顔をしかめました。長男は私に似て、次男は彼女に似ていたから。それでも孫なのでかわいがられました。彼女には脅迫して。父としては二人続けての男の子。何としても欲しかったのでしょう。彼女が仕事に復帰しても、偽りの旦那を作って、周りを信じ込ませました。それは彼女の義理の兄。」


陰で見ている３人（和也、義人、その息子）は、

「父さん？」
「そうだよ。影武者だ。義徳の生まれた頃。」


「本人は若い嫁さんもいいなぁとにたにたしていたけれど見ていて辛かった。嫉妬に近い感情。」