新月の夜

社長に聞いてみたわ。しらをきるから責めたら吐いたわ。そして事情を知った。守らないといけない。今まで守り通した。」
「そうでしたか…。母は今でも耐えています。もう少し実力をつけて時が満ちたら、母を守ります。父と相談して、いくら祖父が認めようとしなくても。一生母は大事な母です。命懸けで産んでくれた。私は父と母に望まれて生まれた。弟も。ですから祖父とけんかしてでも守ります。」
「優しい息子さんね。お母さん幸せだわ。いくら辛くても大切な人がいたから頑張れたのね。私はあなたを慕います。」
「ありがとうございます。」


ナオキの会見が始まる。あさみは祈るようにモニターを見る。
奈央は起きて、あさみに抱かれている。
あさみの秘密を知ってしまった麻友美の兄は奥の深いドロドロな真実に衝撃を受けつつ見ている。


「今日はお集まり頂いてありがとうございます。私には幼い子供がいます。ゆっくりした生活を望んでいます、なので撮影だけはご遠慮ください。この度は、わたくし共がCMに起用しております゛Skip゛が報道されている通りの為に急遽この会見となりました。」
「これからも起用するおつもりですか?」
「はい。そのような事があっても私はそれはお互いが望んだものだと思っておりますのでこのまま続けさせて頂くつもりです。私は彼等を信じております。」
「何故起用したのですか?」
「起用理由は少しでも喜んで欲しかった。私の過去の過ちへの償い。私は父親として何もしてやれなかった最低な男です。私は21の頃、16才の女性と恋に堕ちました。出会ってすぐに彼女に告白されました。突然の事にびっくりして周りがざわつく中、二人で逃げました。まだ恋というものを知らなかった私は、目の前で甘える5つ年下の彼女にそれまでに感じたことの無かった癒える心を感じました。それから、いつものように彼女と何があった?と仲間に聞かれ、その度にキモチが深まっていきました。名前と年齢しか知らない愛しい人。それから半年くらい会えないまま、ある日、同級生に呼び出されて、待ち合わせ場所で待っていると彼女が抱き着いてきました。それは妹を心配した姉の策略でした。それから二人でデートしたりして会うようになりました。」

「時は過ぎて、働くようになると、長男だから継がなければいけないとか、いろいろな重圧で、大事にしないといけ