「はい。」

母は妹を乳母車に乗せる。そして別れる。
残された父と義人。

「ナオキ、二人きりなんて久しぶりだね。」
「ああ、」
「ナオキの話が聞きたい。彼女のお腹が大きくなれば世間に知れる。会社からもこのままでいいのか疑問も出るだろう。互いの意志であれ、悠が妊娠させたのは確かだ。」
「わかってる。父親としてできること。それは悠が息子だと明かすこと。和也も奈央も知れてる。悠は最後になった。」
「それでこそナオキだ。」
「悠は責任を取るつもりだ。私達は息子達を守る。」
「私も手伝うよ。」
「ありがとう義人。」
「さてと仕事に戻ろうかな。うかうかしてたら長男に怒られる。やりにくいなぁ。長男と部署は違っても一緒だと。でもかわいいからいいや。私もナオキと同じ、子供には甘いよ。かわいくて仕方ない。では。」
「待て!」
「ん?」
「何かしら義人には迷惑かけてる。」
「そんな事ないよ。ナオキがいたから。同じ環境でずっと過ごしてきた。それは間違いじゃなかった。」
「ふふふ、そうだな。」


たまたま悠太が兄の車を母と待っていたら、女性社員に見つかる。

「きやぁ!!」

母は、

「見つかっちゃったね。」
「……。」

母は女性社員に、

「彼がいるの内緒にしてあげて?」
「え…はい。」
「旦那にばれたら危ない関係なのよねぇ。」
「…え?」

悠太は、

「どこが…。」
「うそ、だってかわいいのだもの。」
「……。」
「どのようなご関係ですか?」
「親子だったらどうする?なんてね。冗談よ。ふふふ。」

和也の車が。

「和也様…。」
「あれ、早速ばれてる。人気者だね、悠ちゃん。」
「…。」
「早く乗ってね。母さん助手席だよ。なっちゃんはチャイルドシートつけないとね。」
「手伝うよ。」

悠太が言うと。

「客人に手伝わせれないよ。大事にならないうちに乗って?きちんと責任持って送りますから。」
「わかった…。」
「素直だね。またそこがかわいい。」
「何様のつもりだ。」
「ふふふ、ふてくされてもいい男。」
「知らない!」

母と兄は笑う。女性社員は不思議そう。母は、

「内緒ね。」

念を押す。


兄の運転中、悠太は奈央の髪を撫でたり、ほっぺをつつ