新月の夜

人さんの為に。」
「好きな人の子供産めるなんて幸せ。生まれてよかったとか、両親に感謝できたの。パパもママも、お姉ちゃんの子供見たいと思うよ。だって和也に悠太にベロンベロン。お姉ちゃんの子供を望んでる。お兄ちゃんもきっと喜ぶよ。義人さんもいい人だから。」
「…望んでる?私は早く欲しいよ。義人の喜ぶカオ見たい。」
「行こうよ。」


あさみと一緒に、未亜は病院へ(未亜の運転)未亜は和也と手を繋いでいる。
あさみと悠太は診てもらう。何もなく順調に育っている。あさみは唐突に、

「姉が妊娠しているか調べて下さい。」

未亜は、

「あさみ!?」

医師はあさみの熱意に、

「いいですよ。」
「…そんな。」
「私が全部責任持つから。迷惑かけたから。いきなりいなくなったから。お姉ちゃんの為に助けたいの。だから私のわがままを許して?」
「…あさみ、強くなったね。私より強いわ。繊細で、壊れそうだったのに。」
「…不思議だよ。子供産んで、守るべき人が増えて、穏やかに、強くなれたの。女の人ってすごく貴重な経験するんだよ。痛いし大変だけど、でもね、子供が笑ったカオと、大好きな旦那が喜ぶカオ見たらまた見たいとか、ビタミンになるんだよ。だからね。お姉ちゃんにも同じキモチなって欲しい。義人さんの喜ぶカオ見たら苦痛なんて消えるよ。不思議な魔法。」
「…ありがとう。」

そして未亜は検診を受ける。


「おめでとうございます。」

未亜はびっくり。

「…義人の赤ちゃん?」

あさみはにっこり。

「ママだよ。直感。そんな気がした。だから病院に誘ったの。」

あさみは未亜に抱き着き(悠太は乳母車で眠っている)

「私の力を分けてあげる。」

優しく言葉をかける。和也も、

「おねぇたん赤ちゃんいるの?」

未亜は、

「そうだよ。」

と言うと、

「かずもおねぇたんにちからあげる。」

見つめる。未亜は和也を抱っこして、

「和也に勇気もらったら心強いね。」


帰り、未亜が、

「私のは払うわ。」

と言うがあさみは、

「巻き込んだのは私。」
「ダメ!そんなことしたら義人に怒られるわ。」


未亜はお腹をさすって、

「…この中にいるのよね。」