新月の夜

だろ?」

ニヤリ。

「…親バカか。まぁ座って。立ち話も悪い。」

義人はあさみに、

「今何ヶ月かな?」
「もうすぐ8ヶ月です。」
「性別はわかるの?」
「いえ、お楽しみです。きっと男の子のような気がします。ナオキさんの子供、和也の兄弟を産めるなんて嬉しくて楽しみです。」
「お母さん…か。子供ができたらそんなに優しくなれるのか…。」

ナオキは、

「どうした?しみじみして。」
「…結婚したい人がいる。」
「え?」
「聞けて嬉しかった。間違いじゃないんだって。」
「!?」

和也はにこっと笑って席を立つ。

「こら、和…。」

和也は未亜に甘える。

「お姉ちゃん?」
「未亜?」

未亜は、

「見つかっちゃった。驚くかなって思ったのに。和也こんばんは。抱いてあげる。」

未亜は和也を抱っこ。

「重くなったね。3才だよ。お兄ちゃんだ。」

あさみは未亜の異変に気付く。

「お姉ちゃん?…まさか!?」

義人は、

「察しの早い妹ちゃんだね。」
「…お姉ちゃん。」

未亜は和也を

「ごめんね。」

と椅子に座らせ、

「あさみの言おうとしてること。真実よ。」
「未亜…何で?」

義人は、

「鈍感だねナオキは。」
「は?」
「未亜、おいで。」
「うん。」
「ナオキが妹ちゃんを孕ませた時に。というか、もう生まれそうだったけど。未亜に最初に話したように、未亜も妹ちゃんに話した。それだけだ。」
「…お前、未亜を妊娠させたのか!?」
「してないよ。きちんと避妊してます。二回も娘さんができちゃった婚したら、親御さんにどう言えばいい?」
「……。」
「何故言わなかった。義人の女性関係はいつも聞いていた。知ってるなら、いつから聞いてない?」
「それは…大学入ってすぐにいきなり彼女ふったとか言って…彼女泣いてたぞ。」
「種明かししようか。あの時、ただ訳も言わずに振った。聞かれたので、不安になったと言ったが。本当の理由は違った。」
「は?」
「あの時、既に恋していた。講座で、はきはき喋って、持ち前の明るさで、仲間に入る彼女に恋をした。」
「未亜か…。」
「彼女はおはよう。とか、はかどってる?とか気軽に話してくれて、タカってあだ名まで。