「兄さんの?」

史奈は、

「そうだよ。…お兄さんには昨日会いました。一見してはどちらかわからないくらいそっくりで、間違われるのはおかしくないですが、お兄さんはまだお姉ちゃんを忘れられずに、新たな人を見つけられてないです。気持ちは17の時のまま。お姉ちゃんが好き。兄弟が何を言っても忘れられずにいるの。」
「…史奈。」
「そうでしょ?」
「…はい。兄は簡単に彼女を忘れるような人じゃない。妹にいくら26だし、いい人見つけてもいいんだよ。と言われてもまだそんな気ではないと焦らす。兄はそんな人ですよ。」
「…ごめんなさい、そんなこと知らずにはたこうとした。」
「…仕方ないです。兄と私は、周りのごく僅かな人でしか見分ける事ができませんから、間違われのはほぼいつものことです。」


急な訪問にも両家は快く迎えてくれる。あつきの兄には、

「まさかあつきに負けるとは…まだ亜希ならわかるけどなぁ。あ、そうか、亜希は妹ラブだからそうでもないか。妹離れそろそろしないと行き遅れる。」

母は、

「ママはあつきが一番早くなると思ってた。亜希は優し過ぎるわ。それにいろいろあるみたいだし。」
「……。」


あつきは帰って来る。絢美と亜希は優しく受け入れる。