沙織は、

「彼は麻友の事、女としてしか見てなかったよ。いつも見てたし、形はどうであれ、悠くんは純粋な人だよ。ただ、不器用すぎて止められないけど。」
「…。」
「いい人。御曹子なのにそう見えないし。なんか御曹子と言うと生意気でやなやつってイメージ。」
「…世間知らずよ。考えずに暴走する。」
「…そりゃ聞いた限りでは好きなアピールの仕方じゃないけれど。強引だし…。でも好きでしょ?」
「…好きにさせたからいけないの。」
「…はぁ、何でこんなキモチになったの?違反だよ。好きなのに素直になれない。」

あつきは、

「素直になれないからいいんじゃないかな。それを楽しんだらきっと最高。彼はガードがきついくらいあなたを好きですから。」
「え…。」
「彼女と10年近く付き合っていますけど素直になれないのを楽しんでいた時期がありまして。中学校や高校のクラスリレーではわざと線ギリギリまで助走するし、いきなり抱けとかおんぶとか。その時に限って普段呼ばない苗字+君で呼ぶ。でもキモチはわかってますから。正直に従う。でも彼女がねだらなかったもの。キスとカラダですよ。ですから素直じゃないのも手だと思います。」

沙織は、

「結局惚気話ですよね。」
「頻繁に会えない分、惚気ないと、悪いでしょ。」