「あれー?真祐、前より強くなったね」
「だから何やねん」
「俺と優ちゃんねー、最近仲良くなったんだよぉ」
「仲よぉなったようには見えへんけどな」
「あはは、まぁちゃんも言い返すようになりましたか」
「まぁちゃん言うなや、キモい」
「お兄ちゃんに向かってキモいなんて言うなよ」
「キモい、キモい、キモい」
「あ、あの……お兄ちゃんって」
今さらっと言ったけど…。
「俺ね、この可愛い子のお兄ちゃんなのよ」
「えっでも…」
似てないし…関西弁じゃないし…苗字違うし…。
「こいつは……」
「俺は絶対嫌や、こんな兄貴」
説明しようとした先輩の言葉を遮って、水城はあたしの腕を掴んだ。
「み、水城っ…!」
そして、そのまま教室を出て早足で歩いた。

