記者は、私が気にしてる事に気付いて

次のターゲットを私に絞った。




「キミは何か知らない?」



制服が似てるからか、記者は私に話し掛けてきた。



私は知らないと、首を横にふる。


少年の生徒手帳で見た名前を




容疑者の名前を




記者から聞いて





私は、しつこい記者を振り切って


走った。




私が生徒手帳を見て暗記した家に向かって


ひたすら走った。




彼氏とデートで行った事のある公園を抜けて


電柱の番地を頼りに容疑者の家を探した。




かなり走ったけど苦しむどころじゃなく

息するのも忘れるくらい、必死に走ってたどり着いた





容疑者の家の



古びたアパートには




警察が居て鑑識が居た。




周囲には立ち入り禁止のロロープが張られていて




殺人事件のドラマで見るような風景が広がってた。





少年の言動と行動の全てが

私の頭の中で、一本の線となって繋がった。




どうして今まで気付かなかったのか不思議なくらいだった。



その反面



現実とは思えず、まさかという気持ちが葛藤してる。






朝からヤジウマも居て、面白半分に写メを撮ってて



近隣の主婦達は容疑者と被害者の妊婦の噂話をしていた。




全て容疑者が原因で容疑者が悪いと



そんな会話を、飽きることもなく何度も何度も繰り返しながら



アパートの方向を、執拗に白い目で見ていた。





容疑者の少年を、同じ人として扱う会話ではなかった。





まさかじゃなく、紛れもない現実だった。






あの少年が、母親殺しの容疑者だった。