脱衣場の扉の前でしゃがみ込みながら、手首の包帯を撫でた。
彼氏からの暴力で心と体に傷を負ったうえ
見知らぬ少年から「偽善者」と言いがかりつけられて
消えない傷がまた一つ増えた。
男運が悪いらしい。
男なんか大嫌い、もう絶対に二度と好きになるもんか……。
居間の扉が開く音がして、私は耳を傾けた。
「じゃあ、おばあさん、コンビニに行ってきますね。」
愛想のいい明るい声が廊下に響くと
「いってらっしゃい」と、おばあさんの優しい声が聞こえ
居間の扉が閉覆われた。
私は再び鎖をされた状態に戻されるに違いない……。
1日中、鎖で拘束され続けるのなんて絶対に嫌だ。
どうにか逃げられないか……。
困り果てた顔を両腕に伏せたまま
ふと脳裏をよぎった作戦の言葉を
私はそのまま口にした。
「……きちゃったの……アレが……」
嘘だけど、口に出すと恥ずかしくて
自然