出掛けるつもり?
私は納得がいかず、少年の背中を振り返った。
「鎖外してよ……。」
少し威圧的な口調で告げるも
少年は私の問い掛けを無視して、部屋のドアを出ていく。
「じゃあ、ベランダでしろって事?」
トイレ。と言う間もなく
少年は私を振り返って
自分の胸ポケットから南京錠の鍵を取り出した。
ポンと投げて寄越された小さな鍵を、見事両手でキャッチして
足首に巻かれた鎖を繋ぐ南京錠に差し込んだ。
これで偽物を渡してきたら、本当にベランダでトイレしてやるって考えてたけど。
カチャッ。
南京錠は音を立てて外れた。
少年は相変わらずのすまし顔で
自由になった私を横目に
玄関とは逆の居間の方へ消えていった。
私は南京錠と鎖をベッドの下の奥の方に隠すように蹴りやって
そそくさと脱衣場に籠もった。
トイレなんて嘘。鎖を外すための単なる言い訳。