真っ白い景色が広がっていた。



今は止んでいるが、明け方まで雪が降ってたらしく

薄く積もった雪が朝日を反射する明るさで、目が痛かった。




光に慣らしながら目を開いて、辺りを見回す




相変わらず静まり返った室内に、少年の姿はない




そういえば、私の左足の鎖がベッドの脚に繋がれたままだった。





昨晩、少年が眠った隙に胸ポケットにあった鎖を外す鍵を取り忘れてた。




「うかつ……」




思わず呟き。




ため息をついて顔を上げる。




窓ガラスに、学生服をまとって部屋のドアの前に立つ少年の姿が映った。


少年の弱みを目の当たりにした私は


もう、少年には恐怖を感じないらしい。




窓ガラスに映り込んだ少年と、視線を合わせたまま



私は唇を自然に閉ざしていた。




少年から私に声をかける様子もない。




ガラス越しに視線を絡めるだけで


そこには、ただ沈黙の時間が流れた。




ふと

まるで私を見飽きたかのように


少年が先に視線を外した。



彼は私の隣にある衣装ハンガーのコートに手に取って



コートを羽織りながら、部屋の出入り口に戻っていく。