容疑者の事を思いながら


私は眠りの世界に引きずり込まれた。



その時



ぷつり。と、テレビの電源が落ちた。



夢うつつの私は、眠気眼でテレビを見る。



眠り込むお婆さんと、膝を抱えてる私の姿が

真っ黒の画面に映り込んでいた。




そして……




私の斜め後ろには



真っ黒い学生服をまとった少年が


まるで殺人鬼のように



気配すら無く立っていた。




「……っ!!!」



私は幽霊でも見たかのように

声が出せない程にビックリして、ソファーから落っこちた。


そんな音がしても、お婆さんは夢の中で起きる気配すら見せない。



すると、少年は

真っ暗なテレビ画面に向けていた眼を

床に落ちている私へと向けた。



横目で私を見下す殺気立った表情に

私は金縛り状態になって、冷や汗を握るように、じゅうたんを掴む。



少年の醸す雰囲気は、DV彼氏とは明らかに違う

暴力なんてそんなレベルじゃない気がした。



首を締められた時のように、本能的に危機を悟った。



私の心臓は発作のようにバクバクと鳴っている。



「……気づいたろ」