「緋央さん起きたの?お早う。」



相変わらず優しいお婆さん。



私は黙り込んだまま、ソファーから体を起こした。



ここはリビングだった。


私は脱衣場の向かいの寝室で気を失ったのに…。


私に挨拶を終えた少年は、リビングから直結するカウンターキッチンへといってしまった。




「緋央さん、風邪ひいてない?」



少年の後ろ姿を見ていた私は

我に返ったように、お婆さんに視線を向けた。



「あ、お早うございます……風邪、ひいてないです。」



ぎこちない口調で告げると、安心したお婆さんはシワだらけの顔に更にシワを作りながら笑った。



「昨日の夜にね、あなた私と一緒にソファーで寝てしまったみたいなの。」



少年が気を失った私を、何事も無かったかのようにソファーに移動したらしい。



酷い少年の一方お婆さんは私の事