濡れた髪から雫が落ち

青ざめた私の頬を濡らした。



「……何で…私なの……?」



顔を反らしながら震える声で嘆くと

少年は怒りを込めるように、更に強く私の両手を掴んだ。



彼氏に付けられた手首の爪痕の痛みに、私が顔を歪めた時



「偽善者だから。」



少年の応えに、私は逸らしていた視線を少年に戻す。



冷徹な視線を突きつけられながら、言葉の意味を理解出来ずにいた。



一体、私の何が偽善なのか、今の私には見当もつかない。


人違いじゃないのか…。

恐怖を押し殺して、偽善者の意味を聞こうとした時



「だから、殺したくなった。」



体温さえ感じられない冷たい指先で、私の頬を撫でながら

その指先を私の首筋に這わせてゆく。



殺意の籠もった冷淡な言葉に、私は激しい恐怖を覚えた。