Escape ~殺人犯と私~

カバンの中に、この香りの原因らしい、香水のビンが入ってた。



半分以上減ってるので、カバンの中で零したらしいと気付く。



シャツがこの零れた香水を吸って、部分的に張り付いたのかも知れないと理解した。



だから、少年からこのお香の匂いが香ってたのだ。



私は香水とシャツをベッドに置きながら、再び少年のカバンの中に視線を向けてみた。



中には少年の携帯、充電器、財布、マスクが入っていただけだった。



的が外れてしまった

カバンには、私の物は何一つ入って無かった。



取り出した服を仕舞おうとした時。




カチッ。



脱衣場よりももっと間近から、扉の閉まる音がした……。




私は体を硬直させながら張り詰めた空気の中、背後の気配に集中する。




ガチャッ。




静まり返った室内に響き渡る、鍵が閉まったような音。


ベッドに膝をついたまま、私は、少年の荷物から手を離して

音のした方向を恐る恐る振り返る。





私の視線の先



閉ざされた扉の前に



静かに佇む少年の姿があった。