Escape ~殺人犯と私~

見つけた途端、私の足は少年のカバンへと向かっていた。



もしかしたら、あの中に有るかもしれない。



薄い期待にすがるしかなくて、カバンのチャックに手を掛けたけども

他人のカバンを漁る事に抵抗を覚えて一瞬ためってしまった。



そして迷った挙げ句、私は意を決して少年のカバンを開いた。



カバンの中は、まるで香水の原液を撒き散らしたような匂いが充満していて


最初に目についたのは、体育着でもジャージでもない黒い布だった。



それが無造作に詰め込まれているせいで、中身がが見えなくなっている。



他人のカバンの中身に触れる事に抵抗を覚えながらも、布を取り出してみると

薄手の長袖シャツだと分かったのだが

まるで、所々糊付けでもしたかのように、折り畳まれた形に合わせて張り付いいていた。



部分的に、付着した何かが乾いたようなパリパリとした感触。



何の液体が染みたのかな……



疑問に思った私の視界に、ある物が入った。