Escape ~殺人犯と私~

首を横に振る。


落ち着いて、暫く沈黙が続くと、ソファーで寝入ってしまったお婆さんに

私は胸をなで下ろした。


ソファーに畳んであった薄い毛布をお婆さんに掛けると

エアコンの起動音だけが静かに響く、広い室内を見渡す。


少年に渡した上着や荷物が、このリビングには見当たらない。



あれさえ見付かれば、私はすぐにでも逃げられる……。



ソファーとテレビと棚しか無い、殺風景な広いリビングを見渡した後

私はソファーからそっと立ち上がる。



お婆さんが眠っている事を確認しながら、音を立てないようにリビングを移動して

廊下へと続く扉を開いた。



向かう先は、脱衣場の向かいに有る少年が出て来たあの部屋。



履いていたスリッパを脱いで、静かにリビングの扉を閉じると、足音を忍ばせながら部屋に向かう。