りっくんの手はあたしの腕から離れ、
あたしの腰まで伸びた。
あたしの頭の上には、
りっくんの鋭い顎が少しぶつかっている。
「那奈。」
急に名前を呼ばれたあたしは、
返事をせずに眼だけを上に泳がせた。
えっ…?!!
首を動かさないあたしの顎をもって、
りっくんは唇を吸いつけた。
キス…?
「んんっ…。んぁ…。」
前みたい。
なんかキスなのに…。
ドキドキしないし、
痛いし…。
それになんか、りっくんの怒りを感じる。
なんでそんなに怒ってるの?
こうゆう…。
ディープキスっていうのは、
もっととろけて甘くて、
愛情を感じるものなんじゃないのかな…。
ただ頭がくらくらするだけのキスは...
「んっ…。も、ぉやっ!」
長いキスを破ったのはあたし。
あたしはりっくんの肩を
最大限の力で押して、
突き飛ばしてしまった。