キーンコーンカーンコーン――――――――――――――
「終わったぁ~。」
あたしは大嫌いな数学の授業が終わると、精一杯伸びをした。
「あんたそういえば、大丈夫だったわけ?」
「へ?」
あたしは視線を天井から前の席の戸田里緒(トダ・リオ)に移した。
「だぁかぁらぁー、遭難したじゃん。」
「あ、あぁ~、あれねぇ」
「あれねぇって、あんたあのあとろくに口きかないんだもん。」
だってあの状況で…。
そういえば本当に放心状態だった気が…
「だ、いじょうぶだってぇ...。あたしだよ?」
「あっそ。んでなんかあったの?」
里緒ちゃん鋭いなぁ…。しかも面白そうにニヤついてるよ。
でもさすが、あたしの親友だ。
「実はね…。」
あたしは修学旅行での出来事をすべて話した。
里緒ちゃんは快くうなずいて聞いてくれた。
「へぇ。大したもんだね、潮田翔。」
「ん?」
あたしが首を傾けると、里緒ちゃんはボブヘアの横髪をそっと耳にかけて語りだした。
