溺れた愛のシルシ









ちょうどあたしがそのことに気付いたころ、小屋の小さな扉が大きな音を響かせて開いた。


「那奈!」


「り…、っくん...。」



りっくんはあたしと翔君が同じ毛布にくるまっているところを目撃してしまった。



「どうゆうことだよ。」



りっくんはまだ目が覚めていない翔君をそういって睨みつけた。




「那奈。帰るぞ。」

「えっ、ちょ、ちょっと待ってよ、翔くんは?」


あたしの腕をガシッとつかんだりっくんの手を振り払った。


そしてりっくんは座っているあたしを、上からちょっと怒ったような目つきで見た。



「お前…。隣のクラスの…。」

「潮田翔。」


そういって翔くんは毛布をどけて立ち上がった。




「んで。那奈とはどうゆう関係なんだよ。」

「那奈ちゃんが遭難してるところ、助けただけだけど。」

「それで。なんで同じ毛布にくるまってるわけ。」

「1枚しかないからだろ。寒いし。」




あたしは座りながら、わけもわからず2人が火花を立てて言い合いをしている姿を、じっと見ていた。