溺れた愛のシルシ







「な、なんで…?」

「俺さ…、あいつに負けないから。」


翔君が何気なく言った言葉にあたしは耳を傾けた。


「あいつって…。」

「逢沢陸……。」

「なんで?」


そういうと、びっくりしたようにあたしの肩を遠ざけて、

「え?分かんないの?」

「ん?」


相変わらず首をかしげるあたしに、翔くんはため息をつきながら細く笑っている。


「逢沢陸。あいつ那奈ちゃんの彼氏でしょ?」

「え?そうだけどぉ…?」

「ま、そうゆうことだよ。」


……??
なんだかよく分かんないけど…。

翔君がりっくんのことをライバル視しているのは確かだと思う。



「ふぁ~~……。」


疲れがたまって……。あくびが止まりません。
てか、もう12時過ぎてるよ…。


「寝る?」

「でも…。寝る場所が…。」

「ここに毛布があるじゃん。」



そう言って翔くんは毛布をあたしに差し出した。