溺れた愛のシルシ





そういえば…。


「あ、あのぅ…。」

「なに?」

「なんであたしの名前…。」


あたしは見たこともない彼に、自分の名前を知られていることが不思議だった。


「だって…。」

ちょっと迷ったように眼を泳がす彼。

「ほら、となりのクラスじゃん。」

「ほぇ?」



と、と、隣のクラス…??



「もしかして、俺のこと…。」

「あ、あぁ!し、知ってるよ!た、確か…。」

「潮田翔。」

「うっ、そうそう!潮田くん…!」


潮田翔君なんて…。
いくら隣のクラスでも初めて聞いた名前だった。



「寒いね…。」

「潮田くんもこっち来れば…??」



暖炉の横にいるあたしは、潮田くんに手招きをした。