私は足をとめた。 だって、いるはずのない人がいるんだから。 いるはずがないと思っている反面、見間違えるはずがないと思っている。 「どうしたの?」 と花梨が止まった私を不思議そうにみて、正門に目を向けると、花梨も止まった。 そりゃ、驚くだろう。 あの人がくるはずがないんだから。