先生と王子様と演劇部な私。

「ここが目的地」

 先生はそう言って降りると、車の前方から助手席に回ってきた。助手席のドアを開けてくれる。


「どうぞ」

 朗先生が手を差し出してくれた。

 そ、その手を取れと……?

「足元、暗いぞ?」

 先生が優しく笑ったので、おずおずと手を取って車を降りた。


 こういうところ、大人だよね……。


 降りた場所はやっぱり土手だった。少し向こうに野球をしている人たちがいて、その明かりが少し届いてる。



「川辺まで下りるぞ」

 先生は土手を下りようとしてるらしい。けど、足元は暗くて階段がよく見えない。

「怖いんですけどぉ……」