先生と王子様と演劇部な私。

　朗先生はそのまま暫く（しばらく）何も言わずに外を向いたままで。私はそんな先生の虚ろな横顔を眺め続けた。

　どうしたんだろう……。



「さ～て！」

　心配をよそに、朗先生が急にちょっと大きな声を出しながらパッとこちらを振り向いた。ビクッとしちゃったし！　一体何なのよ。


「柚子、部活後で遅いけど、ちょっと時間あるか？　一時間くらいでいい」

「え？　えぇ、まぁ……」

　急に言われてしどろもどろに答える。どうせいつもエミとダラダラして帰ってたから時間は大丈夫だけど……。


「でも……生徒とどっか行くなんてやばいんじゃない？」


　小さな声で聞いてみた。

　朗先生はそれを聞いて楽しそうにフッと笑って、私の真似をして小声で言う。

「じゃぁ……こっそり駐車場行って、待ってればいいんじゃない？」


　いやいや、そういう問題じゃないですよねぇ……。