「……」

 ぶたれた私たちを見ても無表情な、佐々木朗(ささきあきら)先生。佐々木先生がもう一人いるから、朗先生と私たちは呼んでいる。

 おまけに、由美ちゃんは私の担任だった。イコール、この朗先生が私の担任になったのだ。


 正しく言えば、担任の由美ちゃんの代わりだから、この演劇部の顧問にもなったってところだろうけど。



 この朗先生、見た目は最高。



 180cmの長身、モデルばりのすらりとした体系、顔も顎がシャープで、髪の毛は柔らかそうな栗毛。目は切れ長で、眼鏡をかけている。
 二十三、四歳らしいけど、いつもスリムなスーツをバシッと着こなして、ネクタイもきっちり締めているせいか、もう少し上に見える。



 ……でも、いいのは見た目だけみたい。



 なんせ、この先生は私たちに興味がない。顧問だというのに、ぜーんぜん、練習見てても無視なのだ。