「ちゃんとこっちを見て言ってくれればいいのに」 柚子が少し、つまらなそうに呟いた。 俺は立っている柚子を見上げ溜め息をつく。 俺はそんなに辛抱強くないぞ? 「……人の気も知らねーで」 「え?」 見ていたら、抱き締めてしまいそうだ。 他のやつに見せないように、俺の腕の中に隠してしまいたい。 また、キスをしたい。 連れ去りたい。 ……っ、俺は何を考えているんだ。