先生と王子様と演劇部な私。


「ちゃんとこっちを見て言ってくれればいいのに」


 柚子が少し、つまらなそうに呟いた。

 俺は立っている柚子を見上げ溜め息をつく。



 俺はそんなに辛抱強くないぞ?



「……人の気も知らねーで」


「え?」



 見ていたら、抱き締めてしまいそうだ。


 他のやつに見せないように、俺の腕の中に隠してしまいたい。



 また、キスをしたい。


 連れ去りたい。




 ……っ、俺は何を考えているんだ。