先生と王子様と演劇部な私。

 堀木戸さんが頭の後ろで手を組みながら、少し拗ねたように言った。


「王子役でその舞台立ったことなかったし。柚子ちゃんは何か勘違いしてるみたいだしさ」


 そう言って今度はクスクスし始める。


「騙すなんて……ひどい」


 ちょっとムッとして言うと、堀木戸さんは大げさに驚いてみせた。


「それは違うよ~。俺、一言も、学園祭の王子様は自分だなんて言ってないよ~?」


 そうだっけ?


 ……思い返してみる……。


 ……肯定も否定もしなかった、って感じ?


「柚子ちゃんに学園祭の写真見せられたときは、内心ムッとしたけどね。俺じゃねーし! ってさ」


 た、確かに失礼な話だよね。私は申し訳なさで下を向いた。