先生と王子様と演劇部な私。



 パチパチパチパチパチパチ。



 丁度、十二時の鐘の鳴るタイミングで聞こえた客席からの拍手の音でハッとした。


 それはまさに夢から覚めたような感覚。



 あの王子様が目の前にいて、その王子様と舞踏会のシーンを演じれたなんて、夢かも知れない……。そんな思いさえしてくる。



「柚子ちゃん、上手じゃん!」


 由美ちゃんだけかと思ってたのに客席を見ると、いつの間にか堀木戸さんが座っていた。


「堀木戸さん……」


 見ると、堀木戸さんは右足首にグルグルと包帯が巻かれていた上に、松葉杖まで置いてある。それじゃ絶対王子様役できるわけないよ……。



「ってか、どういうことですか……?」


 現実に戻った途端に、頭が混乱してきた。


 探してた王子様が、朗先生だったってこと? それとも堀木戸さんなの?