「王子様のシンデレラになれる?」

 私はもう一度聞き直した。なぜそんなことを聞けたのか、自分でも分からない。


「そうだね。では、僕が貴方を探しましょう。シンデレラ」


 そういうと、王子様はそっと、私の手の甲に優しくキスをした。





 ――そして私はこの学園の入学を目指し、演劇部に入ったのだ。

 もちろん、あの王子様はとっくに卒業しているはずで、あれから一度も目にしていない。