先生と王子様と演劇部な私。

　朗先生がポケットを探り、携帯をポンッと投げてきたので慌てて受け取った。


「な、何ですか？」

「もし、教室で何かあったら連絡しろ。それの番号、控えて」



　えぇ!?　せっかく受け取った携帯を落としそうになって、慌てて持ち直した。


　つ、つまり……。


　私は緊張で震える指で自分の番号を押すと、自分にワンコール電話した。スカートのポケットでブルブルブル、とバイブが鳴る。


　こんな時に朗先生の番号ゲット……なんて思ったら不謹慎かな。
　一瞬堀木戸さんの怪我のことを忘れてしまった。


「何だよ、柚子ちゃんの番号ゲットいいな～」

　弱々しいながらも堀木戸さんが頬を膨らませる。朗先生は無視して、私が返した携帯を受け取ると、またポケットにしまった。



　講堂の裏口から出る二人を見送った後、携帯を取り出して即効、着信履歴の先生の番号を登録した。堀木戸さんには申し訳ないけど、ちょっと感謝します！



　……あ。