先生と王子様と演劇部な私。

「って~!!」


 堀木戸さんが右足首を押さえてうずくまる。


「平!?」


 朗先生は慌てたように堀木戸さんに駆け寄った。私も側に寄ってみたけど、堀木戸さんは左手を振り、大丈夫大丈夫、とぎこちない笑顔を見せている。


「ててて……悪い、平気だから」

「お前、右足じゃないか」

 朗先生は少し青い顔をしている。初めて見る表情だ。



「柚子は、先戻ってろ」

 朗先生が肩を貸して、堀木戸さんが起き上がった。いたた、と顔をしかめている。


「で、でも……」

 朗先生の勢いに飲まれて、オロオロしてしまう。

 そんな私の方を見ると、朗先生は少し笑顔を見せてくれた。


「学校裏の病院行ってくるから。安心しろ」


 そう言って、堀木戸さんを抱えていない方の手でポンポン、と私の頭を叩いた。

 頭の上から暖かさが伝わるようで、安心できる……。


「あ、柚子」