「でも堀木戸さんは、そのライバルが大好きなんだと笑って言ってましたよ」

 私が微笑むと、朗先生は少し口を開きかけて、ぎこちなく軽く微笑んだ。


「そうか……」


 少し憂いを帯びた笑いに、見惚れてしまう。朗先生って本当に、どんな時でもキレイなんだ。





 ――そう。王子様のように。





「朗先生の王子様、観たかったな……」


 思わず呟いてしまい、ハッと口を閉じた。なんて無神経なことを言ってしまったんだと一瞬青くなると、朗先生がフワリと微笑んだ。今度は暖かそうに。



「ありがとう」



 ありがとう? 思いがけない言葉だった。



「また、励まされた」



「え?」


 私の驚いた顔を見た朗先生は、無言で微笑むと車を再び発進させた。