一年女子は、もちろん朗先生に大騒ぎ。無愛想さもカッコ良く見えるらしい。

 ただ、大抵は私たち三年を気にしてあまり堂々としないのに、山野という子は違った。臆することなく朗先生に近づいてはベタベタと腕に触れる。

 朗先生は無視してるけど、極端に邪険にしているわけでもない。もっと振り切ればいいのにっ。


 しかももっと気に食わないのは、この山野朋香が可愛いこと。パッツン前髪にボリュームのあるボブカット。少し勝ち気な目をくりくりとさせて媚びている。


「エミ行こう」


 見たくなくて、エミの手を引いて逃げるように部活に向かった。




 そんな状態なせいで、学園祭目前の熱気あふれる部活で一人暗いオーラを吐き出す私は……


「仲舘~!!」


 顧問の石川先生に怒られまくっていた。今日だけではないので、ついに石川先生も我慢できなくなったらしい。



「お前走ってこい!」


 ここは野球部かよ! と突っ込めるわけもなく、はぁいと返事をして練習教室を出た。

 大体、室内は走っちゃいけないんでしょ。というのを理由にブラブラと校内を歩くことにする。部活終了時間の間際に、わざわざこんなことさせないでもいいのに。