立ち上がって薄いブルーのドレスから付いた葉っぱを払い落とす。

おばあさまからの贈り物。
もうこの世界にはどこにもいないおばあさま。


ああ、おばあさまがいたときは楽しかった。

楽しくてどきどきの冒険物語。
いろいろな物語を聞かしてくださった。




あのときは世界が色んな色に輝いて見えていた。




でも今では…




「なんか楽しいことないかなぁ」


あたしの世界に色なんてあるんだろうか。

あったとしてもそれは暗い色。


あたしが欲しいのは、どきどきするような…キラキラした色!
世界の1つ1つが輝いて見えたあの頃に戻りたい。




ふう…と柔らかい芝生に寝転がる。


顔のすぐ近くにある綺麗なピンクやオレンジの薔薇。



…いい香り…

あたしはゆっくりと目を閉じた。





ガサ!!!

そのときすぐ近くの茂みから大きな音がした。

びくっと肩を上げ、ぱっとその音がした方向を見る。



真っ白い大きなものが横切った。





…うさぎ?