Love or Like




そこには見慣れた人物。


こそこそ隠れてまで確認しなくったって、声だけで十分に誰だかわかるのに。



なんであたし隠れてるんだっけ?



こちらに背を向けてベンチに腰掛ける背中を見つめて、ぼんやりとそんなことを考えていた。



あいつの向かい側には、高校名の書かれたポロシャツを身にまとう女の子。



きっとマネージャーだろう。


2人の話から予想すると、おおかたふざけて階段の手すりを滑り降りた創平が落っこちて怪我をしたというところだろう。


ばかだなぁ。


「ばーか。おまえの運命は今あたしが握っている」


心の中のあたしは笑うのに、小銭を握るあたしの手のひらはさっきよりも汗がにじんでいる。



「あー待って待って。せめて言うなら試合終わってからにして」



こめかみに汗がつたった。
雨が降っていて湿気がひどく、蒸し暑い。



「しょーがないな。別にたいした怪我じゃないから、監督には黙っててあげる」


あぁ、はやく冷たいものが飲みたい。
はやくこの、嫌な汗をなくしてしまいたい。




「まじか!さすがマネージャー!!
愛してんぜまいちゃん!」