Love or Like




もう一度必死に階段を駆け上がるサッカー部員たちの方向へと視線を向けると、そこにはおでこに汗を光らせながらのんびりと上の階から降りてくる乃亜の彼氏の青木くんがいた。




「おつかれ」


「おつかれー。林なにしてんの?」



首にかけたタオルで汗をぬぐいながら、駆け上がってくる部員を上手によけながら青木くんはこっちにむかってきた。


ちなみに使っているタオルが乃亜からのプレゼントだということをあたしは知っている。



「残って勉強してんの。今から1階に飲み物買いに行くとこ」



手に持った抜き出しの小銭を青木くんに見せる。


がんばってんね。って言う青木くんの反応からあたしが今週末に英語の再試であるということが乃亜から漏れていることに気付く。


乃亜め。このおしゃべり。



「飲み物買うんだろ?下降りないの?」


「いや、邪魔しちゃ悪いし、向こうの階段から降りようとしてたとこ」


「あ、そっか。通れなかったのか。俺いっしょに降りるよ。したら、通れるっしょ?」


「いやいや。練習中でしょ?あたしとゆっくり階段降りてていいの?」


「登りは全力だけど、下りは膝に負担かかるから歩いて降りてるから大丈夫」


行こう。と気軽に言ってくるもんだから、本当に下って降りるものなのだろう。


正直回り道するのも面倒だと思っていたから、素直に一緒に降りてもらうことにする。