乃亜に対して敬礼で答えると、乃亜も笑いながら敬礼で返してくれた。


今日の授業は職員会議だかなんだかで、授業は5限までしかない。


クラスのみんなは帰る準備をしたり、部活のある男の子は教室で着替え始めたりしている。

せっかく早く帰れるんだから、ちょっと寄り道して最近駅前にできたらしいドーナツ屋さんに行きたいけど、わたしにそんな余裕はない。


あいにく明日が追試日だ。


追試を言い渡された月曜日から、密かに放課後教室に残って勉強を続けている。



「あかり追試の勉強めちゃくちゃがんばってるねぇ。絶対追試大丈夫だよー」


「追試受けるなんて初めてだからさー。プライドの問題だね。何回も追試なんて受けてらんないし」


「むしろ今までよく英語の追試なかったよねー」


「赤点ギリギリを狙う努力はしてたの」


「なにもギリギリじゃなくても」


「ギリギリでいつも生きていたいからね」


「リアルだね」