「そか。じゃなきゃこんな面倒なことにあんたが律儀に付き合うわけないよね」
作り笑いをしてペンをテキストに走らせた。
そうだ。あたしのためじゃない。
なにを勘違いしてる。うぬぼれるな。
きっと創平はあたし以外の誰かが追試を受けることになって、先生に勉強をみることを頼まれても承諾してる。
わかってたことだけど、改めてあたしは創平の“特別”ではないことを再認識させられた。
きっついなぁ。
唇をかみ締めてテキストとにらめっこしていると、創平の気配が動いたような気がして、
気がつくとまたお互いの前髪が触れるまで2人は近くにいた。
「あかりじゃなきゃやんねーよ」

