あたしは冗談で(のつもり)聞いてみた。
「あたしたち…付き合ってるの?…」
「なんだよ今さら。当たり前だろ?…」
当たり前。
つまり、
付き合ってるのは当たり前。
付き合ってんの?!
ふと、アツシの後ろの時計に目が入る。
!!
ヤバ!
本番なのに……っ!
「「希結どーしたの?」」
2人そろって心配顔。
「え…?何が?」
「顔、真っ赤だよ?」
……
思い出す。
さっきあったコト。
あたしの……
ファーストキス……。
「はーい!終わりましたーー!」
「お疲れさまです」
それだけスタッフやマネージャーに言うと、あたしは走って家に帰った。
バンッ
勢いよくお姉ちゃんの部屋のドアを開ける。
「どーいうコト?!」
「何が?」
お姉ちゃんがベッドに横たわれながら、何のこと?という顔をしてる。
「アツシと付き合っ……」
あたしが大声でそういうと、
「お母さんに聞こえるでしょ!」
と、睨んできた。
「だって…」
「いい?誰にも言わない?」
「うん……」
でも実は誰にも言っていない、あたしとアツシのヒミツがあるんだ――……


